パリ旅行 ルーヴル美術館3

ルーヴル美術館は、12世紀末にルーヴル城として作られて以来、増改築を繰り返し、姿を変え続けています。

いま私たちが見ることができるのは、1985年〜1989年に行われた大改修によって近代的に生まれ変わったルーヴル美術館です。


今も変化を続けており、今後は19世紀末に焼失したチュイルリー宮殿を再建する計画もあるのだとか。

したがって、私が敬愛する画家達が足しげく通っていた頃のルーヴル美術館は、私が訪れたルーヴルとは違う姿のルーヴルだったはずです。



しかし、セザンヌやロダンが100年前に見上げ、感嘆した作品が今も同じ場所で見られます。


1863年に発見され、1884年にダリュ大階段の踊り場に据え置かれているサモトラケのニケです。

海から吹きつける強い風に立ち向かうように、翼を高くあげ飛び立とうとする勝利の女神が、大理石とはとても思えないほど巧みに表現されています。

石で表された肉体に宿る精神。

この彫像を見ると2000年以上前の芸術に比べ人間がいかに小さいことか思い知らされます。
同じ人間でありながら、古代ギリシア人と私にとてつもなく隔たりがあることを感じました。


これほどのゆるぎない精神性をもつ芸術をうみだした文化とは、なんだったのか。

西洋哲学はプラトンの注釈に過ぎないという言葉もありますが、

もしかしたら芸術もそうなのかもしれません。

この作品を見ると芸術には進歩などないのだと実感します。

(パリ旅行 ルーヴル美術館4へ続く)

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