クロッキー会(2011/12/23) 3・ムービング

今回のクロッキー会で一番衝撃を受けたのは「ムービング」という手法。

「ムービング」は、その名の通りモデルさんがゆっくり、常に動いている様子をスケッチ=クロッキーするというもの。

どこで読んだか忘れましたが、ロダンは、アトリエの中に常に何人かモデルを特にポーズをさせずにおき、モデルから霊感を受けたらすぐにクロッキーや彫像を行ったというのを思い出しましたがそれとちょっと似てるかもしれません。



まずは1回目。

ムービング1 サンギーヌ(27枚/10分)

ムービング1のアルバム

常にモデルが動作し続けていても、一瞬を短期記憶に留めおき、その短期記憶によってクロッキーすることは出来ます。

ですが、それでは1分や2分、5分クロッキーと変わりません。描きあがる絵も1分クロッキーと大して変わらないものでしょう。ならばあえて「ムービング」という特殊な手法で描く意味はありません。

私は、ムービングで描くにあたって、通常のデッサンやクロッキーのように「対象を見、描くものを観察して記憶し、その記憶と解剖学や人体比例などの知識とを組み合わせて描く方法」を忘れるべきだと思いました。

ムービング2 コンテ黒(23枚/10分)

ムービング2のアルバム

私が20分以上の固定ポーズによるデッサンよりも、短時間でのスケッチ=クロッキーを好むのは、私の油彩の創作態度に近い緊張感がありながら無になれる精神状態になれるからです。

禅の修行のように、何も考えないでいることは私にとって容易ではありません。

このムービングでも何も考えずに線を引いたつもりですが、いろいろな雑念が頭をよぎります。

自分が描いているものは記憶であって目の前の対象じゃない。
線がなにを表したのか。
描線がいかに非力か。もっとできるのではないか。
線で囲った領域が頭部を表すなんて浅はかで本質的じゃない。

…などなど。

考えを整理すす時間もないまま最後はなんと男女二人でのポーズ。

一人でも精一杯なのに二人とは、と驚き怯みましたが、自分がどんな心境に達するのか楽しみで一心不乱に書き続けました。

ムービング3 コンテ黒(28枚/10分)

ムービング3のアルバム
目で見たものを理性で処理せず腕が動くのに任せる、そのような精神状態に要られることにとても興奮しました。



3回のムービングを終えて、10分間を3回で78枚ということはムービング1回で平均26枚。

10分間で平均23秒で1枚ということになります。

クロッキー会が終わってからこの記事を書くまで1ヶ月弱。

クロッキー帳を見返しながら、私はこれまでのデッサンやクロッキーを越えたいと思い細部にとらわれず衝動的な線で描くことを目指しながら実は人体比例を捨て切れないところに限界があるのではないかと思いました。人体比例を超えられるか、というのが今後の課題になってくると思います。




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